低賃金や業務がきついイメージのある介護業界ですが、本当の闇は別にあることがわかりました。介護労働安定センターの最新の調査によると、介護士の離職理由は「職場の人間関係の問題」が1位。多くの介護士が対人トラブルに悩まされ、離職しています。介護士が陥りやすい人間関係のトラブルと、その理由をご紹介します。

介護士同士の関係

介護士にとって最も接触が多い職員は、同僚の介護士。同僚の介護士は、常に協力してケアを行うので、かかわりが深くなる存在です。密な関わりのある同僚とは、かけがえのない仲間となる可能性もあります。しかし、相性が悪い場合は深刻な対人トラブルになるおそれがあります。

介護士同士の対人トラブルは、2種類あります。1つ目は、介護度の高い利用者を押し付けられる、指導を逸脱して叱責される、新人いじめ、派閥によるトラブル…といった職務上のトラブル。2つ目は、利用者への声かけの仕方で揉めるなど、介護方針や利用者理解のちがいからくる衝突です。

特に、人手不足など余裕のない現場では、人間関係が悪化しやすくなります。普段の業務に追われていると、ハラスメントを改善するようにしっかり指導したり、同僚の間で話し合いを持つことができなくなるからです。同僚との関係に悩み、職場にいることが苦痛になって離職してしまう介護士は多いです。

看護師との関係

介護士と看護師は、連携することが多い職種。二つの職業は、「介護」「看護」という異なる専門性をもっています。なので本来、上下関係はありません。 しかし看護師の中には、介護士を下に見る人が存在します。それが、対人トラブルの種になっています。

看護師が介護士に命令する、介護士を馬鹿にした言動をとる、介護士と看護師どちらが現場の主導権を握るかで揉める…といったトラブルが起こっています。介護士と看護師の給料の差や、病院の上下関係を介護現場に持ち込むことが背景になっていると考えられています。看護師との対立やしいたげられる環境に耐えきれず、離職してしまう介護士が多いのです。

上司・法人との関係

上司や法人全体と介護方針が合わず、離職する介護士も多いです。介護労働安定センターの調査では、介護士の多くは仕事にやりがいを感じていることがわかっています。現場の介護士達は毎日、ケアの質を高めようと試行錯誤しています。

そのなかで、法人の理念や上司の考えに納得がいかない時、違う考えを持つ時も出てくるでしょう。このような時に、職場で話し合いができれば、ケアの質を高めるチャンスとなります。しかし、違う意見を認めない雰囲気がある法人や、部下の意見に向き合わない上司の場合、やる気のある介護士ほど不満をつのらせていきます。最後には、法人に見切りをつけて離職してしまうことになります。

介護現場で人間関係がこじれやすい理由

介護士は職場の人間関係に悩む人が多い現状があります。しかし、それは個人の性格的な問題だけが原因ではありません。介護現場は、対人トラブルが非常に起こりやすい環境なのです。

介護の現場には、色々な立場の人や職種がいます。その中で介護士には、常に連携・協力して業務にあたることが求められます。介護現場は、人との接触が多く、トラブルに見舞われる確率が高い職場といえます。しかも、介護の質を高めるために一人一人が考えるので、意見の衝突もつきもの。介護士という仕事はそもそも、対人トラブルのリスクが高い仕事なのです。

それに加えて、介護現場の現状が対人トラブルの発生に拍車をかけています。長い勤務時間や、夜勤が多い、職員配置が少ない…といった過酷な労働条件で、精神的な余裕のない人が介護現場には多くなっています。ストレスをためている職員が多いと、その分いざこざも多くなります。いざ、トラブルが起こってしまった時にも、余裕のない職場では対応できないことがあります。トラブルがそのままになったり、個人的に問題を抱え込んでしまうことで苦しんでいる介護士は少なくありません。

多くの介護士が悩んでいる職場の人間関係の問題は、介護士という職業が元々持っている対人トラブルのリスクと、ストレスが多くトラブルを解決できない労働環境によって生み出されています。

介護士が人間関係で悩まないためには?

介護士として働く以上、人間関係の問題は常について回るものです。それでも、対人トラブルが原因で離職するほど苦しんでしまうことは避けたいですよね。そのためには、人間関係の問題が多い職場に就職しないようにするのが一番。面接官が威圧的・高圧的である、いつも求人広告を出している、現場の職員が疲れ果てている…。これらの特徴が見られる場合は、対人トラブルが多く、対応もできていない職場と予想されます。就職する前にチェックしておくと、リスクを減らすことができます。

人間関係の悩みは深刻化すると、メンタルヘルスの病気にもつながる危険があります。もしトラブルに会った時は、すぐに上司に相談するようにしましょう。改善が見られない時には、自分のこころを守るために早めに転職を考えることも必要です。